以前試作した「6BM8真空管アンプ」が完成しましたので、ご紹介致します。
人生初の自作真空管アンプ
以前、自作真空管アンプの書籍を購入しまして、それに従って真空管アンプの製作を進めておりました。それがこの度完成しました。
カットシステム
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真空管周りの回路については、真空管を扱うことが初めてで何もわからない事に加えて、アナログ回路も不得意ですので、そのまま実装する方向で製作しました。
しかし、全てそのまま従ったわけではなく、製作テーマと今回アレンジを加えた点がありますので、下記に紹介します。
製作のポイント
製作テーマ:デザイン重視の筐体
「自作の真空管アンプ」と言えば、容易に想像されるモノが金属(アルミ)筐体の箱に真空管がニョキニョキと生え、トランスが鎮座している姿です。みんな揃いも揃って同じ様な外観をしているのです。個人的にこれでは面白くないと思いまして、もっとデザイン性がある真空管アンプを作りたいと考えました。
では、「デザイン性のある筐体とは何か」ということを考えた結果、木製の筐体とコンパクトにまとまった印象があるアンプというテーマでデザインすることにしました。
木製筐体の材料としては100円ショップで入手できるMDF材を使うこととしました。
デザインは、言わずと知れたApple社のMacの中でも個性的な形をした円筒形の「Mac Pro」をモチーフとしました。
電源をトランス・レスにする
上記の書籍に載っている回路では、電源は商用電源AC100Vからトランスを使って変圧をします。このため、そこそこ大きなサイズの電源トランスが筐体に載ることになります。こうなるとデザインの幅が狭まると思いまして、小型化のためにトランス・レスにすることにしました。
ACアダプターから入力されるDC電源を昇圧してDC200Vをアンプの電源としました。
電源モジュールについては、下記記事を参照ください。
完成したアンプ
それでは、完成したアンプをご紹介します。
デザインのテーマであった「木製の筐体とコンパクトな印象があるアンプ」は実現できたと考えております。
さながら骨壷です。
中には2本の「6BM8」が見えます。
真空管の周りにはデザインとして、銅製針金で作った真空管ガードを取り付けました。
背面にはプッシュターミナル,電源入力コネクタ,電源トグルスイッチ,音源入力コネクタ(ステレオミニプラグ)があります。
上から見た状態。
MDFは断面の処理に気を使わないと、仕上がりがザラザラしてしまいますね。
底面にはゴム足を取り付けています。
上蓋を取り外した状態。
赤色の基板は電源モジュール、その隣に400V耐圧の電解コンデンサが並んでいます。
こちらは底板を取り外した状態。
回路は真空管ソケットに直接ハンダ付けしました。
重心を考えて2個の出力トランスは底面側に設置しました。
背面の蓋を取り外した状態。
真空管の様子。
電源を入れると、真空管の下部がオレンジ色に光ります。
ヒーターの発光を模した演出として、オレンジ色のLEDをソケット下部に入れました。
室内を暗くして撮影した状態。
オレンジ色の光が際立ちます。
初めての自作真空管アンプの評価
音の評価
音の評価としましては、主観的には良いと考えています。しっかりと迫力のある音がスピーカーから出てきます。以前製作した小さな半導体BTLアンプは少し心細い感じがありましたので、この点真空管アンプはしっかりしています。
しかし、客観的に評価するとなると正直なんとも言えないところです。
というのも、自分は比較対象を知らないために、良いとも悪いとも言い難い。今後経験値を増やしていきたいところです。
デザインの評価
当初頭の中にあったアイディアを実現できたと思います。
八角形の形状は製作はなかなか大変ではあったのですが、いかんせん骨壷なのです。
しかし、Maker Faire Tokyo 2018に出展した際には、デザインをお褒めいただくこともありましたので、嬉しいものです。
最近アンティーク色の塗装ばかりしていますので、次回以降は可愛らしいカラーリングも考えてみたいです。
音量の左右差の問題
これについては製作を通して知ったのですが、安価な2連ボリューム抵抗を使用すると音量の左右差が出てしまいやすいとのことです。左右差を「ギャングエラー」と呼ぶそうで、1つ勉強になりました。
今回の製作では、片方の回路に抵抗を並列に加えてみたところ、幾分か左右差がおさまりました。
発熱の問題
発熱については真空管の宿命でありますから、逃げられないポイントです。今回の製作では木製の筐体を使用し、真空管の上方を蓋で塞いでいる状態です。
こうなると熱が上蓋のところに溜まるわけです。よって上蓋が体感で結構熱く感じます。
筐体が木製ということで、発熱からの発火が心配になるところです。よって、今後は発熱を考慮したデザインを考えたいです。
アンティークとして目にする真空管ラジオ等は、真空管が筐体の箱の中に隠れている構造が多いと思いますが、これは空間を広くとる等して発熱を考慮しているのでしょうか。
デザインとして面白くないと思っているアルミ筐体に真空管がニョキニョキ生えた構造は、あれはあれで発熱と排熱の観点から見ると理にかなった構造なのでしょうかね。
今回はなんとか形になりました。
次回、また真空管アンプにチャレンジしてみたいと思います。
真空管オンリーだけではなく、半導体とのハイブリッドも試してみたいです。
それでは、またよろしくお願い致します。
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