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疑似ニキシー管プロジェクト【Part 1-2】

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電子工作

代替技術で「ニキシー管」を再現することを目指す【疑似ニキシー管】プロジェクト。今回から具体的な製作の様子をご紹介します。

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試作の概要

今回の試作品の概要についてご紹介します。

UV-LEDと蛍光塗料を用いる

前回の記事でご紹介した様に、「UV-LEDと蛍光塗料を用いる方式」で試作を行います。

サイドビュー型のニキシー管を模倣

ニキシー管には色々と種類がありまして、表示部の構造で分類するとトップビューとサイドビューがあります。今回は個人的にニキシー管らしいと思っているサイドビューの構造として設計します。

ガラス管に収める

本物のニキシー管に近づけるために、表示部をガラス管に収めるべく設計をします。

ガラス管に収めるためには表示部をなるべく小さくすることを考えて、LEDはチップ(表面実装品)を使用します。このLEDについてはTwitterにてご紹介いただいたものです。感謝申し上げます。

UV-LEDの選定

この試作で重要となる部品の1つ「UV-LED」を選定します。

UV-LEDについては、この疑似ニキシー管プロジェクト再始動のきっかけとなった部品でして、UV-LEDありきのプロジェクトとも言えます。まず最初にこのLEDがありました。

発端はTwitterにてUV波長も出る紫色のチップLEDをご紹介いただいたことです。改めて感謝申し上げます。

そのLEDというのが、LED PARADISEという店舗で販売されている「2012(0805)チップLED 紫 LP-2012UPC」です。

2012(0805)チップLED 紫 LP-2012UPC : LED PARADISE

チップLEDにもサイズの種類があるのですが、今回は光量が多いであろう2012サイズを選びました。

蛍光塗料の選定

蛍光塗料は、前回の記事で紹介した試作で使ったものが「ガイアカラーシリーズ」のオレンジ色の蛍光塗料です。これに加えて、紫外線がない場合には透明であるという塗料「マジックルミノ」も試すことにしました。

最初の試作の段階で使ったオレンジ色の塗料が下記のものです。

また、今回新たに試す塗料が下記の2つです。

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これら2色を混ぜることでオレンジ色に発光することを期待しました。紫外線があたっていない場合には「透明」という説明が記載されています。

表示部の構造設計

UV-LEDを選定した時点で表示部の設計を行いました。

薄いプラ板に蛍光塗料で文字を印字

前回紹介した初期段階の試作では、1mm程度の厚さの透明塩ビ板に蛍光塗料で文字を書き、その板の側面からLEDの光を入射する方式にしていました。しかし、今回は板の側面から光を入射することをやめ、文字に直接LEDの光を当てる構造とすることを考えました。

UVカットスプレーでコーティング

表示部は0~9の数字が印字された板が並び、UV-LEDで光が照射されます。このときに、発光させたいパネルのみにUV光を当てたいのです。隣のパネルにUV光が届くと、隣の文字まで光ってしまいます。これを防ぐために文字盤のパネルそれぞれの片面にUVカットスプレーを吹き付けてUVを遮断することを考えました。

表示部に上下から光を当てる構造

表示のコントラストを高めるために表示部を強く発光させたいと考えました。このため、なるべく多くのLEDの光を表示部に当てることを考えて、表示部の上下にLEDを配置して光を当てる構造にしました。

サイドビュー構造

表示部の上下にLEDを配置することとした上で、さらにサイドビューにする構造を考えました。

LEDを配置するためには「基板」を使うことになります。つまり、基板という板状の材料を用いながら何らかのサイドビューの構造を考えることになります。

また、LEDを光らせるためにはもちろん電流を流す必要がありますが、構造を考える上でその電流のラインを考える必要もあります。基板上にLEDのフットプリントだけを用意して、電流のラインは電線をジャンパーとして手でハンダ付けするという構造も考えられます。しかし、これでは組み立ての手間が多くなるため、なるべく簡単に組み立てられる構造を考えたいと思いました。

それでは、今回試作することとした構造のスケッチを下に示します。

このラフなスケッチからだと完成形が見えづらいですが、数枚の基板を組み合わせる構造です。基板を組み合わせる目的と、LEDの電流を通す目的を兼ねてそれぞれの基板をL字のピンヘッダでハンダ付けして結合することにしました。ピンヘッダを使うことで組立ての手間を減らすことができると考えました。

アイディアの段階では左右から光を当てる構造などを考えまして、自分がタイプA〜Dと名付けた4種類の構造がありました。今回はその中からタイプCと名付けていたLEDの上下配置の構造を採用することとしました。

ガラス管の選定

ガラス管は疑似ニキシー管の発光・表示自体には関係がありませんが、ニキシー管らしい外見にするために用います。

ガラス管はAmazonにて販売されていることを確認し、その中から選定しました。Amazonにて販売されているものはサイズ(長さや径)の種類がいろいろとありましたので、ニキシー管らしいサイズUV-LEDの表示部が収まるサイズを考慮して選定しました。

今回購入したものが下記になります。

サイズは長さが60mm,内径が27mmのものです。

前記の構造設計との兼ね合いもあるので、いろいろなサイズで検討しました。

基板の設計

上記の構造案をもって基板の設計をします。

基板製造メーカの制約を考慮

アイディアの上では実現性がありそうでも、実際には製造が難しい場合があります。基板の製造において基板メーカの製造ルールや制約があるため、その制約の中で設計しなければなりません。

今回の考えた表示部の構造アイディアの中にも、実際には作れそうにないものがあったために試作を断念したものがあります。

回路はシンプルな構成

7セグメントLEDやニキシー管が電流制限を外付けの抵抗で行う様に、今回設計する疑似ニキシー管も単純にLEDが接続されただけのものにしました。

疑似ニキシー管の1文字あたり合計4つのLEDを使う構成にし、上下それぞれで2つのLEDを直列に接続しました。

基板は寸法をよく確認しながら設計

今回の試作品は細かな基板のパーツが合計4つあります。

これらを組み合わせて1つの疑似ニキシー管になるため、寸法の誤りがあると意図した構造で組み上げられず問題です。

よって、寸法は図面を描いてよく検討した上で基板設計に落とし込みました。

今回は4つの基板データを用意して発注しました。発注先はFusionPCBです。

基板の面付けにまつわる失敗

当初、基板データは10cm x 10cmの範囲に4種類のパーツの面付けを行っていました。しかし、FusionPCBに発注した段階で面付けが多いために追加請求の連絡がきました。

Vカットではなく、ルーターで溝をカットしてもらって面付けとする思惑でした。しかし、異種面付けのルールに従って追加請求が発生しました。

追加請求が思いの外高額だったため、今回は発注をキャンセルして改めて4枚の基板として発注しました。

4種類の基板のうちLEDが実装される部分に関してはパターンを共通化できたのではないかと思われるので、これについても1つ反省点です。


発注した基板や実際に疑似ニキシー管の組立て、そして実験の様子は次回以降の記事でご紹介します。

それでは、よろしくお願いします。

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