ニキシー管時計製作記 Part 3です。
今回は電源回路についてご紹介します。
2つの電源
ニキシー管時計の回路中には、2つの電源が存在します。
1つはマイコンやその他ICの駆動に必要となるDC5V電源。
もう1つは、ニキシー管の点灯に必要となるDC200V電源です。
これら2つの電源についてご紹介します。
DC5V
1つ目は、手軽なDC5V電源から。
DC12Vからの降圧
前回のブロック図でご紹介したように、ACアダプターによって供給されるDC12VからDC5Vに降圧します。
降圧するためには、レギュレータやDCDCコンバータを使用します。
試作品では3端子レギュレータを使ってみました。秋月電子で販売されている「L7805CV-DG」です。
3端子レギュレータは発熱する
しかし、12Vから5Vに降圧するために、3端子レギュレータは発熱が多く、ヒートシンクを使用することになりそうです。
なるべくヒートシンクを使うようなことにはしたくないため、レギュレータの使用をやめ、DCDCコンバータを使用することにしました。
5V出力のDCDCコンバータ
DCDCコンバータは、秋月電子通商の通販サイトを見るとたくさん種類があります。
今回は、3端子レギュレータからの置き換えが可能な「BP5293-50」を使用することにしました。
回路としては、3端子レギュレータ同様に入力と出力コンデンサを付けるだけの手軽なDCDCコンバータです。
このDCDCコンバータによって、発熱を抑えることができました。
DC200V
DC200Vは、昇圧回路を使用してDC12Vからつくります。
昇圧回路
昇圧回路は、下記のサイトを参考にさせていただきました。
新日本無線の「NJM2360」という型番のDC/DCコンバータ制御ICを使っています。
こちらのICは、「NJM2360AD」という型番のICが秋月電子通商にて販売されておりますので、これを使用します。
試作品がこちらになります。
基板のサイズは約45mm x 35mmです。
DC200Vという高い電圧からイメージからすると、基板はだいぶコンパクトにまとまりました。
このサイズで200Vを出力します。
回路図
では、電源部の回路図を示します。
回路図はKiCADで描きました。
※注意:上記回路図ではQ1:2SA1015のCとEが逆に接続されています。トランジスタの原理上は回路が動きますが、正確にはCがGNDに接続されます。修正したものを下図に示します。
昇圧電源の回路について
昇圧電源の回路について簡単に記載します。
NJM2360はDCDCコンバータICです。しかし、このIC単体では200Vの昇圧を行えません。よって高耐圧のFETを使用して外付けのインダクタをスイッチングします。インダクタ,FET,スイッチングダイオードの部分は代表的なDCDC昇圧コンバータの回路です。FETのゲートにつながるpnpトランジスタとダイオードは、FETを高速にスイッチングするためにあります。
FB1は本来過電流検出抵抗を入れますが、1Ωより小さい値のためフェライトビーズを入れました。これについては本来抵抗を使うべきです。また、抵抗が無くても電源としては動作します。
電源シンボルの反省点
今回のニキシー管時計はKiCADを初めてまともに使ったプロジェクトでした。このため電源シンボルを自作する術がわからず、【V_NIXIE_TUBE】,【DC5V】の電源ラインがワイヤーに名前を付けただけのものになってしまっています。回路上はつながっているために動くことは動くのですが、シンボルを作れなかったという点が反省点です。
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電源部を単独のモジュールとする
今回の製作では、最終的に回路をプリント基板にしたいと考え、電源部は電源モジュールとして分離するためにXHコネクタを回路に入れました。
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電源モジュール基板
この記事を書いている段階で、既にプリント基板が完成しているため、こちらもご紹介したいと思います。
基板サイズは、75mm x 35mm です。
この基板にDC5VのDCDCコンバータと、DC200Vの昇圧回路が載っています。
今回は電源回路をご紹介しました。
次回は、制御部の回路についてご紹介したいと思います。
それでは、次回もよろしくお願い致します。
次の記事 : ニキシー管時計 (with Arduino) 製作記 【Part 4】
2018/09/19 : タイトルを変更しました。
「(with Arduino)」を追加。
2018/09/19 : 一部加筆修正
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