フォートナイト用のイコライザ設定を探るため、実際のゲーム音声を解析してイコライザの効果をシミュレーションしました。
自作イコライザを改良したい
先日、Astro Mixampに憧れてゲーム用のイコライザをアナログ回路で自作してみました。
こちらのイコライザで取り入れた周波数は、ネットで調べて色々な方々の設定を参考にしたものです。
自作したイコライザの効果はどうかというと、とにかく足音は大きくなって聞こえます。そして、環境音を小さくすることにも効果はありそうでした。
しかし、本当にこれで完璧な設定なのかというとそんなことはなく、まだまだ改良の余地がたくさんありそうでした。
そこで、今度は自分で実際にフォートナイトの音声を解析して、理想の周波数設定を探ることにしました。今回の記事はフォートナイトの音声の解析結果と、解析をもとにイコライザの効果をシミュレーションしてみた結果をご紹介します。
Astro Mixamp等のイコライザの設定の参考になると思います。
解析とシミュレーション
音声の解析とシミュレーションをした一連の様子はYoutubeにアップしています。通常時とシミュレーションした音声を聴き比べることができますので、是非動画の方もご覧ください。
解析する音声
前提として、今回の解析はフォートナイト チャプター2 シーズン8で行っています。チャプターやシーズンが変わると音声の仕様変更が行われる可能性があります。
今回解析した音声は4つです。
- 敵の足音
- 環境音(虫の声)
- 宝箱の音
- 敵のグライダーの音
多くの人がよく注目するのはやはり敵の足音だと思います。今回はこれに加えて、環境音、宝箱の音、敵のグライダーの音も解析しました。
環境音については、特に甲高いコオロギ等の虫の声を小さくしたいと考えました。しかし高い周波数の環境音を下げてしまうと、同じく高い周波数の音を発している宝箱の音が聞こえなくなってしまうのではないかと心配しまして、宝箱の音への影響も調べることにしました。
敵のグライダーについては、最初のバスからの一斉降下で街に降り立つ時に敵が近くに降りてきていないか知りたかったり、プレイ中盤にどこからともなく敵が飛んできていきなり撃たれることを避けたかったりするのではないかと考えまして、この音を大きくするべく解析することにしました。
解析方法
音声の解析は、実際にフォートナイトをプレイした動画の音声をもとにソフトウェアを使って行いました。
解析に使ったソフトウェアは「Sonic Visualiser」と「GarageBand」です。ともに音声をスペクトラムとして可視化するために使用し、スペクトラムから音が大きくなっている周波数を確認します。
GarageBandは本来は音楽を作るためのいわゆるDAWですが、イコライザ機能の画面から周波数スペクトラムを確認できましたので、これを利用します。
シミュレーション方法
シミュレーション方法は、先程のGarageBandのイコライザ機能を使ってゲームの音声を操作します。
イコライザ機能を無効にしたオリジナルの音声と、GarageBandのイコライザ機能で調整した音声を比較します。
敵の足音対策
それではここから解析結果とイコライザの設定をご紹介します。
まず敵の足音について。敵の足音は歩く場所によって微妙に音が変わりますが、全体的に低い周波数帯の音が多い様子でした。
コンクリートの上と建物内至近距離を歩く音のスペクトラムをご紹介します。赤色が濃くなっているところが音が大きい成分で、これが足音です。
この解析結果から、敵の足音を大きくする周波数の設定は次の3つを考えました。
敵の足音 : 増幅
- 100Hz
- 350Hz
- 650Hz
低い周波数帯の音を大きくするほど足音が大きくなる効果がわかりやすいと思います。
以下の動画では2:40から足音のシミュレーション結果をご紹介しています。シミュレーションでは100Hzを+10dB、残り2つを+8dBとしています。
環境音(虫の声)対策
虫の声への対策としては、かなり虫の声を小さくできる設定を見つけたのですが事情があってこれはボツとなり、かわりとなる採用案を考えました。後ほど2つともご紹介します。
虫の声を解析してみたところ、大きな音の山が2つある様子でした。
ボツ案
まずはボツ案からご紹介します。
解析結果をもとに2500Hzと4800Hzを小さくすることを考えました。
この2つの周波数を下げることで無視の声はかなり小さくなると思います。しかし、この設定は懸念点があり、敵の足音の高い周波数帯の音も小さくなってしまう恐れがありました。
そこでこの設定はボツとして、代わりとなる設定を考えました。
採用案
採用案とした設定は、先程の2つの周波数のうち4800Hzのみを小さくする設定です。虫の声を小さくしながら、敵の足音も聞こえる状態を狙っています。
虫の声 : 減衰
- 4800Hz
以下の動画では5:38から虫の声のシミュレーション結果をご紹介しています。シミュレーションでは4800Hzを-10dBとしています。
宝箱の音への影響
また、虫の声を小さくすることで宝箱の音も小さくなってしまうことを懸念していましたが、宝箱の音は高い周波数帯の音が広く分布している様子でしたので、4800Hzを小さくしても他の周波数でカバーされるため影響はなさそうでした。
敵のグライダーの音対策
最後に敵のグライダーの音の対策です。敵のグライダーの音は調べづらかったのですが、スペクトラムを見てみると7000Hz付近に山が見えましたので、この付近の周波数を増幅することを考えてみました。
敵のグライダーの音 : 増幅
- 7000Hz
グライダーの音は足音の増幅設定ほどは違いが分かりづらいかもしれませんが、それでも聞こえやすくなると思います。
以下の動画では6:40から敵のグライダーの音のシミュレーション結果をご紹介しています。シミュレーションでは7000Hzを+10dBとしています。
まとめ
最後に改めてイコライザの設定をご紹介します。
敵の足音 : 増幅
- 100Hz
- 350Hz
- 650Hz
虫の声 : 減衰
- 4800Hz
敵のグライダーの音 : 増幅
- 7000Hz
全部で5つの設定項目ですので、Astro Mixampの設定にも対応できると思います。音量の増減値(dB)は使用している機器にあわせて調整する必要があると思います。
今回ご紹介した設定をさらに検証して、自作のイコライザの設計にフィードバックしていく予定です。
コメント
YouTubeを見てこちらに来ました。とても参考になりました。
一つ質問なんですが、自分はアストロミックスアンプを使っていますが帯域幅はどのような設定にした方が良いと思いますか?
他の方の設定も調べたのですが低い人もいれば高い人もいたのでぜひご教授していただきたいです。宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます。
実は僕もその後アストロミックスアンプを購入しまして、帯域幅の設定に戸惑いました。ドキュメントを探したのですが、帯域幅の設定が具体的にどのように効くかという説明を見つけられませんでした。
現状は実際に使ってみて良いところを探らないといけないのですが、今度時間がある時にミックスアンプの帯域幅の影響も実験してデータをとってみたいと思っています。